第10章 正しい情報で人材を確保せよ!
概説
労働者を採用し、あるいは、アルバイトを雇った場合において、実際に働き始めてから、労働者との間において、賃金や労働時間などの労働条件の内容についてトラブルが生ずることがあります。これは、労働者を雇う際に、事業者と労働者の間において労働条件の確認がしっかりできていなかったことに起因します。
そのようなことにならないため、事業者は、労働者に対して働くときの条件を明示することが義務付けられています。すなわち、事業者は、募集をするときには募集条件、採用するときには労働条件を明示しなければならないことになっているのです。しかも、重要な事項については、書面の交付等によって明示することが求められています。
事業者においては、採用後の無用なトラブルの発生を避けるためにも、募集や採用においては、応募者や労働者に労働条件を書面の交付等によって明確に示す必要があります。これから就職する方も、仕事を探すときには求人票や募集要項で、また、労働契約を結ぼうとするときには労働条件通知書等で、労働条件をしっかりと確認しましょう。
そのようなことにならないため、事業者は、労働者に対して働くときの条件を明示することが義務付けられています。すなわち、事業者は、募集をするときには募集条件、採用するときには労働条件を明示しなければならないことになっているのです。しかも、重要な事項については、書面の交付等によって明示することが求められています。
事業者においては、採用後の無用なトラブルの発生を避けるためにも、募集や採用においては、応募者や労働者に労働条件を書面の交付等によって明確に示す必要があります。これから就職する方も、仕事を探すときには求人票や募集要項で、また、労働契約を結ぼうとするときには労働条件通知書等で、労働条件をしっかりと確認しましょう。
◆NG1 解説
「わが社で働きたい!という意欲のある若者を採用するんだから、労働条件なんか、昨年度のまま掲載すれば別にいいだろう!」
事業者は、ハローワークに求人の申し込みをする場合や、求人情報誌、ホームページ等で労働者の募集を行う場合は、労働時間、賃金など労働条件を明示することが義務付けられています(職業安定法第5条の3第1項、第2項)。特に、労働時間、賃金など重要な労働条件については、書面の交付等によって明示しなければならないことになっています。したがって、事業者は、ハローワーク等での求人票、募集要項等において、求職者にとって知りたい情報、つまり、労働時間、賃金等の労働条件を詳しく、また誤解のないように、明確に記載することが必要になります。
◆NG2 解説
「それじゃあ、採用のときに口頭で話せばいいだろう?何も書面にしなくても」
事業者は、労働時間、賃金等、重要な労働条件については書面の交付等によって明示しなければならないことになっています。書面の交付等による明示の方法については、求職者の希望がある場合には、①FAX、②電子メールやWebメールサービス、③LINEやメッセンジャー等のSNSメッセージ機能等の方法によることが認められています。ただし、求職者がその電子メール等の記録を出力することにより書面を作成できるものでなければならないことになっています(職業安定法施行規則第4条の2第4項)。
◆NG3 解説
「いやいやいや、そこまでしなくていいだろう。どうせ入社したらわかることだ」
事業者が、ハローワークの求人票や募集要項等において募集時に明示した労働条件を変更、削除、追加等する場合には、求職者に対して変更する労働条件を明示しなければなりません(職業安定法第5条の3第3項)。たとえ、求職者が強く入社を希望していたとしても、労働条件の変更等を入社前に明示することは事業者の義務です。
ハローワークに提出された求人票に記載された労働条件と採用面接の際に説明された条件が違う場合において、その事実を労働者がハローワークに申し出たときは、ハローワークが、その事業者に対して事実確認と必要な指導などを行うことになります。
ハローワークに提出された求人票に記載された労働条件と採用面接の際に説明された条件が違う場合において、その事実を労働者がハローワークに申し出たときは、ハローワークが、その事業者に対して事実確認と必要な指導などを行うことになります。
◆NG4 解説
「まぁ、そういう人にも、入社のときに話せばいいんじゃないの?労働条件をいちいち明示しなくても、別に法で罰せられるわけでもないし」
求職者は、労働条件を十分に理解した上で、応募するかどうかを判断するわけですから、虚偽や誇張を含んだ条件を提示して求人することは違法になります。虚偽の条件を提示して労働者の募集を行った事業者、または、虚偽の条件を提示してハローワーク等に求人の申し込みを行った事業者は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります(職業安定法第65条)。
なお、裁判例の中には、ハローワークに出した求人票と採用の際の労働条件通知書が異なる場合について、求人票記載の労働条件が雇用契約の内容となると解するのが相当であるとするものがあります。この点にも留意する必要があります。
なお、裁判例の中には、ハローワークに出した求人票と採用の際の労働条件通知書が異なる場合について、求人票記載の労働条件が雇用契約の内容となると解するのが相当であるとするものがあります。この点にも留意する必要があります。
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