Q&A
年次有給休暇
Q
年次有給休暇をとると賞与の査定でマイナス評価にされてしまいます。有休をとらなかった人はその分多く働いたのだから当然と会社は言いますが、労基法上、問題はないでしょうか?
A
年次有給休暇は、労基法が保障する労働者の権利です。年次有給休暇をとることを賞与の査定でマイナス評価にすることは、労働者がその権利である年次有給休暇をとることを事実上抑制することになりますので、年次有給休暇をとる労働者に対する不利益な取扱いとなります。

不利益取扱いの禁止
労基法は、年次有給休暇をとった労働者に対して、使用者が賃金を減額したり、その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないことを定めています(労基法附則136、)。
例えば、精皆勤手当や賞与を算定する際に、年次有給休暇を欠勤扱いにすることなどが不利益取扱いに当たります(S63.1.1 基発1)。
この規定は、年次有給休暇をとった労働者に対する不利益取扱いが年次有給休暇の取得を抑制し、労基法39条の精神に反することなどから、訓示規定として設けられたものです。精皆勤手当や賞与の減額などの程度によっては、公序良俗に反するものとして民事上無効(民法90)となる場合もあります。
〈関連判例〉
大瀬工業事件(横浜地裁 昭51.3.4判決、ID01445)
【判例要旨】就業規則に定める皆勤手当制度、出勤奨励金制度において年次有給休暇で欠勤した日を通常の欠勤日として取り扱われ、当該手当を支給されなかった従業員が、その支払いを請求した事例で、皆勤手当等の諸手当の全部または一部を『年休を取得して休んだ日のあること」を理由にして支給しないことは違法と判断された。
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