使用者には、労働者に対して36協定や法令等の周知義務があると聞きました。今まであまり使用者から協定や法令等の説明を聞いたことはありません。使用者は、36協定のほかどのような法令等を周知しなければならないのですか?

使用者の法令等の周知義務については、労基法第106条1項に規定されています。
ここで対象となる法令等とは、以下のとおりです。
  • 労基法及び労働基準法施行規則、年少者労働基準規則、女性労働基準規則等の要旨
  • 就業規則
  • 貯蓄金管理に関する協定(18条2項)
  • 賃金控除に関する協定(24条1項ただし書)
  • 1カ月単位の変形労働時間制に関する協定(32条の2第1項)
  • フレックスタイム制に関する協定(32条の3第1項)
  • 1年単位の変形労働時間制に関する協定(32条の4第1項)
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制に関する協定(32条の5第1項)
  • 一斉休憩の適用除外に関する協定(34条第2項ただし書)
  • 時間外労働・休日労働に関する協定(36条1項)
  • 月60時間超の時間外労働をさせた場合の代替休暇に関する協定(37条3項)
  • 事業場外労働に関する協定(38条の2第2項)
  • 裁量労働に関する協定(38条の3第1項)
  • 年次有給休暇の時間単位年休に関する協定(39条4項)
  • 年次有給休暇の計画的付与に関する協定(39条6項)
  • 年次有給休暇取得日の賃金を健康保険の標準報酬日額で支払う制度に関する協定(39条9項ただし書)
  • 企画業務型裁量労働制に関する決議(38条の4第1項、5項)
  • 高度プロフェショナルに関する決議(41条の2第1項)

上記については、次のいずれかの方法で周知しなければなりません。

  1. 常時各作業場の見やすい場所に掲示・備え付ける。
  2. 書面で交付する。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する。
凡例
法令の略記
・労基法:労働基準法 ・労基則:労働基準法施行規則 ・年少則:年少者労働基準規則 ・最賃法:最低賃金法
・労契法:労働契約法 ・賃確法:賃金の支払の確保等に関する法律 ・安衛法:労働安全衛生法
条文等の表記
・法令略記後の数字:該当条文番号 ・法令略記後の○囲みの数字:該当項番号 ・法令略記後の( )囲みの漢数字:該当号番号
例:労基法12①(二):労働基準法第12条第1項第2号
通達の表記
・発基:大臣又は厚生労働事務次官名で発する労働基準局関係の通達 ・基発:労働基準局長名で発する通達
・基収:労働基準局長が疑義に答えて発する通達 ・婦発:婦人局長(現 雇用均等・児童家庭局長)名で発する通達