私は、週3日勤務のパートタイムで働いています。職場には同じような仕事をしている正社員がいますが、正社員とパートタイマーの給料の差がとても大きくて、やる気が削がれてしまいます。こういった場合、会社にそのような差について説明を求めることができると聞きましたが、そのようなことは可能なのでしょうか?仮にできるとしても、会社に悪い印象を与えてしまって、不利益な扱いを受けてしまうのではないかと、ちょっと怖いのですが。

事業主には、パートタイム労働者、有期雇用労働者といった非正規雇用労働者に対し、その待遇に関して説明する義務があります。まず、事業主は、採用時において、雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用等)について説明する義務があります(パート・有期労働法第14条第1項)。さらに、労働者から求めがあった場合において、事業主には、①パートタイム労働者、有期雇用労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容や理由、②待遇決定に際して考慮した事項について説明する義務があります(同条第2項)。そして、説明を求めた労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないとされています(同条第3項)。
したがいまして、職場で同じような仕事をしている正社員との間で給料の差がとても大きいとお考えでしたら、給料の相違の内容や理由について、事業主に対して説明を求めることができます。また、そのようにして説明を求められても、事業主には不利益な扱いをすることが法律によって禁止されています。

事業主による待遇の相違の内容及び理由の説明

パートタイム有期雇用労働指針(事業主が講ずべき短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針 (平成19年厚生労働省告示第326号))には、事業主による待遇の相違の内容及び理由の説明について次のように規定されています(同指針第3の2)。

  • 1 比較の対象となる通常の労働者
    事業主は、職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等が、短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲等に最も近いと事業主が判断する通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由について説明するものとする。
  • 2 待遇の相違の内容
    事業主は、待遇の相違の内容として、次のイ及びロに掲げる事項を説明するものとする。
    イ 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間の待遇に関する基準の相違の有無
    ロ 次の(イ)又は(ロ)に掲げる事項
    (イ) 通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の待遇の個別具体的な内容
    (ロ) 通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の待遇に関する基準
  • 3 待遇の相違の理由
    事業主は、通常の労働者及び短時間・有期雇用労働者の職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、待遇の性質及び待遇を行う目的に照らして適切と認められるものに基づき、待遇の相違の理由を説明するものとする。
  • 4 説明の方法
    事業主は、短時間・有期雇用労働者がその内容を理解することができるよう、資料を活用し、口頭により説明することを基本とするものとする。ただし、説明すべき事項を全て記載した短時間・有期雇用労働者が容易に理解できる内容の資料を用いる場合には、当該資料を交付する等の方法でも差し支えない。
凡例
法令の略記
・労基法:労働基準法 ・労基則:労働基準法施行規則 ・年少則:年少者労働基準規則 ・最賃法:最低賃金法
・労契法:労働契約法 ・賃確法:賃金の支払の確保等に関する法律 ・安衛法:労働安全衛生法
条文等の表記
・法令略記後の数字:該当条文番号 ・法令略記後の○囲みの数字:該当項番号 ・法令略記後の( )囲みの漢数字:該当号番号
例:労基法12①(二):労働基準法第12条第1項第2号
通達の表記
・発基:大臣又は厚生労働事務次官名で発する労働基準局関係の通達 ・基発:労働基準局長名で発する通達
・基収:労働基準局長が疑義に答えて発する通達 ・婦発:婦人局長(現 雇用均等・児童家庭局長)名で発する通達