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期間を定めた労働契約を締結しています。今回、契約を更新しますが、何時契約を打ち切られるか不安でなりません。更新するときには、会社から今後の契約更新の見込みを明らかにしてもらうことは可能ですか。
有期労働契約を締結しているということですが、確かに、有期労働契約の場合は、いつ契約を拒絶されるのか不明であり、不安定な立場であることはよくわかります。そのため、更新されるのか否かは最大の関心事であり、まず、継続して勤務する意思のあることを会社の担当者に伝えておくことは必要です。
労働契約を新規に締結する場合ではなく、更新する場合も更新する場合の基準に関する事項(旧労基法施行規則5条1項第1号の2)を明示しなければならないことになっていました。ところが令和6年4月1日施行の改正労基法施行規則では、それに加えて労働契約法18条1項に定める通算契約期間(無期転換のための要件となります)、有期労働契約の更新回数に上限がある場合には当該上限を明示しなければならないことになりました。その意味では、今後は、無期転換権行使を見据えた通算契約期間や契約の更新回数の上限が定められている場合はその上限についてもきちんと明示されて説明を受けることが可能になります。
このように、契約を締結する場合や、契約を更新する場合には、これらの事項が明らかにされることになりますので、よく確認をしてください。
実際に、有期雇用契約を会社が更新を拒否する場合もあり得ますが、それについては、事前に労働契約法18条1項に定める無期転換権を行使しておくことが有効です。無期転換権の行使の要件としては、①有期労働契約の通算期間が5年を超えていること、②契約更新回数が1回以上あること、③同一の使用者との間で契約していることが必要です。この無期転換権が有効になされれば期間満了による雇止めではなく解雇になるので、正当な事由が必要になります(労働契約法16条)。
また、無期転換権を行使する前に、使用者から期間の途中で解雇された場合には、労働契約法17条1項により「やむを得ない事由がある場合」でなければ解雇し得ないとされており、このやむを得ない事由とは解雇の正当事由よりも厳しいと言われています。
さらに、期間満了時に使用者により更新拒否をされた場合には、労働契約法19条に定める要件を満たさなければ使用者の雇止めは無効になる可能性があります。その要件としては、労働者が労働契約の期間が満了する日までの間に労働者が更新の申し込みをした場合、又は、当該契約期間満了後遅滞なく有期労働契約の契約の申込をした場合に、次の①または②に該当し、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない時は、使用者は、従前の労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で労働者の申込を受諾したものとみなすことになります。
- ①当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了前に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該機関の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
- ②当該労働者において当該有期労働契約の期間満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものと認められること。
- 凡例
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法令の略記
・労基法:労働基準法 ・労基則:労働基準法施行規則 ・年少則:年少者労働基準規則 ・最賃法:最低賃金法
・労契法:労働契約法 ・賃確法:賃金の支払の確保等に関する法律 ・安衛法:労働安全衛生法 -
条文等の表記
・法令略記後の数字:該当条文番号 ・法令略記後の○囲みの数字:該当項番号 ・法令略記後の( )囲みの漢数字:該当号番号
例:労基法12①(二):労働基準法第12条第1項第2号 -
通達の表記
・発基:大臣又は厚生労働事務次官名で発する労働基準局関係の通達 ・基発:労働基準局長名で発する通達
・基収:労働基準局長が疑義に答えて発する通達 ・婦発:婦人局長(現 雇用均等・児童家庭局長)名で発する通達