Q&A
賃金
Q
注文が少ないので交替で休んでくれと言われ、先月は5日間休みましたが、その間の給料は支給されませんでした。このようなことは労基法上許されるのでしょうか。
A
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当(この手当を「休業手当」といいます。)を支払わなければなりません(労基法26)。
「使用者の責に帰すべき事由」とは、地震や災害などの不可抗力による場合を除き、資材が集まらなかったために作業が出来なかった場合や、機械の故障により休業せざるをえなかった場合など、経営者として不可抗力を主張し得ない一切の場合を包含するものと解されます。
したがって、注文が少ないことは、使用者の責に帰すべき事由に該当しますので、休業手当の支払を受けることができます。
労基法26に該当する事例
労基法26に関する具体的な事例として通達に示されているものとしては、港湾労働者に関するS41.06.21 基発630、労働組合のストライキに関するS24.12.02 基収3281、ロックアウトに関するS23.06.17 基収1953があります。
平均賃金の100分の60以上の手当の意味と支払方法
平均賃金は、原則として、「これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」と定められています(労基法12)。
なお、上記の「賃金の総額」には、以下の3つの賃金は算入されません。
- (1)臨時に支払われた賃金
- (2)3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金
- (3)通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属さないもの
労基法26が支払うことを規定する休業手当は、上記の平均賃金の100分の60であり、規定上「100分の60以上」と規定していますが、本条の趣旨が、強行法規をもって平均賃金の100分の60までを保障しようとするものであることから、100分の60を超えて(例えば、100分の70)労働協約、就業規則等に定めることは自由ですが、この場合でも100分の60を超える部分は、本条によっては強制されません。
なお、1労働日の一部を休業した場合は、労働した割合で既に支払われていても、その日につき、全体として平均賃金の100分の60までは支払わなければならず、実際に支給された賃金が平均賃金の100分の60に達しない場合には、その差額の支給を受けることができます。
また、休業手当は、労基法11の賃金に該当しますから、その支払については労基法24の規定が適用され、休業期間の属する賃金算定期間について定められた支払日に支払いを受けることができます(S25.04.06 基収207、S63.03.14 基発150)。