第7章 ストレスに負けるな!

概説

働く上で、ストレスをためすぎないようにすることは、心の健康を保つために、とても大切なことです。
ストレスチェックは、従業員のストレスの状況を定期的に検査するもので、その主な目的は2つあります。
①検査結果を本人に通知して、自分のストレス状況を気付かせ、メンタルヘルス不調に陥るリスクを減らすこと、
②検査結果を集団的に分析することによって問題点を発見し、職場環境の改善に活かし、従業員がメンタルヘルス不調に陥るのを未然に防ぐこと
ストレスチェック制度は、平成27年12月1日に施行された改正労働安全衛生法によって始められました。この章には、ストレスチェックについての問題が潜んでいます。

◆NG1 解説

「病気かどうかの診断」というのは大きな誤解です。
ストレスチェックはひとりひとりのストレスの状況を検査するもので、病気かどうかを診断するものではありません。
「悪い結果だったら見たくない」というのも問題です。自分のストレス状況と向き合い、メンタルヘルス不調に陥らないようにすることも、ストレスチェックの目的です。

◆NG2 解説

「自分じゃどうしようもない」ことばかりとはいえません。
メンタルヘルスケア(精神的な健康を管理すること)のひとつに、セルフケア(他人に任せるのではなく、自分自身で管理すること)があります。
セルフケアの基本は、働く方一人一人が、「自分の健康は自分で守る」という考え方に立って、そのために必要な知識、技法を身につけ、日常生活の中でそれを積極的に実行することです。厚生労働省のウェブサイト「こころの耳」では、セルフケアの進め方などの情報が公開されています。是非ご覧になって、参考にしてください。

◆NG3 解説

人事部長は、個人ごとの結果が気になるようですね。でも、受検した従業員の同意を得ることなしに検査結果を人事部長が見ることは禁止されています。しかも、従業員の同意は、従業員自身が自分の検査結果を知った後で得たものでなければなりません。
部署ごとの分析結果を参考にして職場環境の改善に活かすことが、ストレスチェックの目的のひとつです。

◆NG4 解説

産業医などストレスチェックを実施する者は、高ストレス判定(強いストレスを受けているという判定)の従業員のうち、必要と思われる従業員に、面接指導を受けるよう勧めます。従業員が面接指導を受けることは、メンタルヘルス不調に陥るのを予防するのに、とても有効であるからです。
なお、面接指導を受けるよう勧められて、これを受けたいと申し出たことを理由に、その従業員を昇給や昇進させないなど、不利益に取扱うことは禁じられています。(労働安全衛生法第66条の10第3項)