法令・制度のご紹介

労働基準監督官の仕事

労働基準監督官とは

労働基準監督官は、労働基準関係法令に基づいて、事業場(工場や事務所など)に立ち入り、法に定める労働条件や安全衛生の基準を事業主に守っていただくよう、必要な指導を行い、労働条件の確保・向上と働く人の安全や健康の確保を図ります。また、不幸にして労働災害に遭われた方に対する労災補償の業務を行います。
企業が労働基準関係法令の理解を深め、適正な労働条件の定着を図っていくことができるよう努めています。

労働基準監督官の権限

  • ◆適正な調査を行うため、予告なく事業場に立ち入ることとされています。

ILO 第81号条約第12条第1項
「正当な証明書を所持する労働監督官は、次の権限を有する。
(a) 監督を受ける事業場に、昼夜いつでも、自由に且つ予告なしに立ち入ること。」

  • ◆調査のため、事業場の帳簿書類を確認したり、従業員などに尋問したりすることができます。

労働基準法第101条第1項等
「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。」

  • ◆立ち入りや調査を拒んだり、妨げたりした者は、労働基準法により処罰される場合があります。

労働基準法第120条
「次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
四 第百一条の規定による労働基準監督官(中略)の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者」


労働基準監督官が取り扱う法律

労働基準監督官が取り扱う、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、じん肺法、家内労働法、賃金の支払の確保等に関する法律などの法律を指して、労働基準関係法令といいます。


労働基準監督官が行う監督指導

労働基準法、労働安全衛生法などの法律に基づき、定期的にあるいは働く人からの情報を契機として、事業場に立ち入るなどにより、機械・設備や帳簿などを検査して、関係労働者の労働条件について調査を行います。法違反が認められた場合には、事業主などに対しその是正を指導するほか、危険性の高い機械・設備などについては、その場で使用停止などを命ずる行政処分を行うこともあります。
監督指導は、法違反等を是正していただくことが目的ですので、是正を確認すれば、監督指導は終了となります。


労働基準監督官が行う監督指導の状況

監督指導は、1年間に約15万件(令和3年)実施しています。そのうち定期監督(主体的、計画的に実施する監督指導)等では、約68%の事業場において何らかの労働基準関係法令違反が認められました。
主な違反事項は、
① 時間外労働に関する届出を労働基準監督署に届け出ない、または届け出た上限時間を上回って時間外労働(残業)を行わせているもの
② 機械や設備などの安全基準を満たしていなかったもの
③ 時間外労働(残業)等に対して割増賃金を支払っていなかったもの(一部未払を含む)
などとなっています。

【主な法違反の内訳(平成23年)】

なお、これらの法違反のほとんどは、労働基準監督官の指導等によって是正されています。
具体的な是正方法や是正報告書の書き方など、ご不明な点があれば、担当官にご相談ください。


労働基準監督官が取り扱う申告

労働者は、労働基準関係法令違反がある場合には、労働基準監督官に行政指導を求めること(申告)ができます(労働基準法第104条等)。
これを契機として、労働基準監督官が事業場に臨検するほか、事業主などに来署を求め、直接、事情を聴取するなどの方法により事実関係の確認を行い、その結果、法違反が認められた場合には、是正を図るよう指導を行います。
申告受理件数は、1年間で約2万2千件(令和3年)にのぼり、その内訳は、賃金不払に関するものが最も多く、次に解雇に関するものとなっています。

申告受理件数


労働基準監督官が行う司法処分

監督指導の結果、是正勧告を受けた法違反を是正しないなど重大・悪質な事案については、強制捜査を含む司法警察権限を行使し、送検します。1年間に約900件(令和3年)送検しており、その内訳は、労災かくしや、機械などの安全基準を満たさないために労働災害を発生させた事案などの労働安全衛生法違反被疑事件が約65%、賃金不払や違法な長時間労働などの労働基準法等違反被疑事件が約34%となっています。
また、最近は告訴・告発事案も増えてきています。


必要な手続を忘れていませんか?

時間外・休日労働に関する協定(36協定)届

時間外労働や休日労働を行わせる場合は、労使で36協定を締結し、その上限時間を、あらかじめ、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署へ届け出る必要があります。

  • ◆労働時間・休日

法定労働時間は1日8時間、1週40時間です。
法定休日は1週1日または4週につき4日です。

  • ◆割増賃金

時間外労働や休日労働を行わせた場合は、割増賃金を支払う必要があります。


就業規則作成(変更)届

常時10人以上の労働者を使用する事業場の場合は、就業規則を作成し、労働者代表などの意見書を添えて、労働基準監督署へ届け出る必要があります。
届出後の就業規則の内容を変更する場合にも、同様の届出が必要です。


健康診断結果報告

常時50人以上の労働者を使用する場合は、健康診断を行った結果報告を、遅滞なく、労働基準監督署へ提出する必要があります。

  • ◆健康診断

常時使用する労働者を雇い入れるとき、また、雇い入れた後も、1年以内ごとに1回、定期に、法定の項目について健康診断を行う必要があります。



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