内部告発と懲戒

具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性

■基本的な方向性

  1. その根幹的な部分が真実であるなど一定の要件を満たした内部告発は正当な行為となります。
  2. 正当な告発を理由とする懲戒処分は無効であり、不法行為として損害賠償の対象となりえます。

大阪いずみ市民生協事件(H15.06.18大阪地堺支裁判)

【事案の概要】
  1. 生協総代らに告発文書を送付するなどしたことにより、懲戒解雇・長期の自宅待機処分などを受けたXら3名が、内部告発に対する報復的行為・名誉侵害行為であり、精神的損害を被ったとして損害賠償を請求したもの。
  2. 大阪地裁は、一定の要件を満たした内部告発は正当な行為として、これを理由に懲戒解雇することは許されないとした(なお、懲戒解雇は地位保全の仮処分が認容され、Xらは職場復帰している)。
【判示の骨子】
  1. 内部告発の内容が虚偽の場合には、組織体に大きな打撃を与える危険がある一方、真実が含まれる場合には、当該組織体の運営方法等の改善の契機ともなる。
  2. 内部告発する者の人格的利益や表現の自由等との調整する必要もある。
  3. 次の要件を満たす内部告発は正当な行為として、これを理由に懲戒することは許されない。
    1. その根幹的部分が真実か、告発者が真実と信ずる相当な理由がある、
    2. その目的が公益性を有する、
    3. その内容が告発される側にとって重要である、
    4. その手段・方法が妥当である。
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