目次目次

しっかり学ぼう!働くときの基礎知識

事業主・労務管理担当の方へ

ハラスメント

キャラクターキャラクター
近年、職場においてパワーハラスメントセクシュアルハラスメント妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、その他、様々な理由から従業員の個々人の尊厳や人格を損なういじめ・嫌がらせ(以下、ハラスメント)に係るトラブルが増えています。ハラスメントの加害者は上司、さらには同僚等による場合があります。
このようなハラスメントによって、被害社員は仕事に対するモラル・モチベーションを低下させるほか、メンタル不調などの健康障害や意に反する退職に追い込まれるなど深刻な問題が生じており、会社から見ても重要な労務課題といえます。
同トラブルを防止するために、使用者は、あらかじめハラスメントに係る必要な知識を身につけて、適切な労務管理に努めることが重要です。
パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントなどのハラスメント相談・防止対策等は共通する点が多いため、以下では特にハラスメントのうち、パワーハラスメントを取り上げ、パターンごとに想定される主なトラブルとそれに対応するための必要な知識をまとめていますので、参考にしてください。
ハラスメントのパターンと対応上の課題

ハラスメントのパターンと対応上の課題を大別すると次のとおりです。
1職場内において上司がハラスメントを行った場合
 ⇒1.上司によるパワハラに対する会社の民事賠償責任、2.上司によるパワハラと労災認定・解雇との関係
2職場内において同僚等から職場いじめ・嫌がらせがなされた場合
 ⇒1.同僚等によるハラスメントに対する会社の民事賠償責任、2.同僚等によるハラスメントと労災認定との関係
3被害社員から相談があった場合の会社対応
4職場におけるハラスメントの防止対策とは

1上司によるハラスメント問題が生じた場合に注意すべきこと

キャラクターキャラクター
  • 上司が部下に対し、業務上の指導目的で叱責を行った場合もパワハラに該当しますか?
  • 上司によるパワハラのため、被害社員がメンタル不調となった場合、労災認定の対象となりますか?
1.上司からの指導…叱責が如何なる場合に法的に問題となるパワハラに該当するのか

上司からの指導等が違法なパワハラであるとし、社員が会社に対し損害賠償請求を求めることがあります。問題は如何なる場合、会社が民事損害賠償責任を負うかですが、裁判例の中には以下の判断を示したものが見られます。「(上長には)、その所属の従業員を指導し監督する権限があるのであるから、その指導監督のため、必要に応じて従業員を叱責したりすること・・それ自体は違法性を有するものではない。しかしながら、(上長の)行為が右権限の範囲を逸脱したり合理性がないなど、裁量権の濫用にわたる場合は、そのような行為が違法性を有するものと解すべき」
東芝府中工場事件 東京地八王子支判 H2.2.1 労判558-68

例えば、上司が中途新入社員に対する退職強要を主目的として、ことさらに同社員の些細なミスを取り上げ、執拗に叱責を繰り返すような行為は目的・態様ともに会社側の人事裁量権を逸脱濫用しており、会社、場合によっては上司含めてパワハラを理由とした民事損害賠償責任を負います(B社事件 東京地判 H21.1.16 など)。また上司による指導・叱責目的が教育指導など一定の正当性が認められる場合もその態様において人格毀損的なものや、長時間にわたるものなど社会通念からみて合理性を欠く場合、同じく違法性を有し、会社等が損害賠償責任を負うこととなります。

その一方、上司の指導によって、部下の感情を害したとしても、正当な指導監督の目的が認められ、かつその態様が社会通念に照らして相当なものであれば、違法性は否定されます。例えばグラインダーなどの機材を職場ルールに反し、放置したまま退社したり、不安全行動がみられる社員に対し、再三注意するも改善が見られないため、上司が反省書の提出を求める等の指導を行ったことは、目的・態様ともに人事裁量権の濫用は認められず、合理性があるものと判断されています(前掲 東芝府中工場事件)。

また指導の経緯も違法性評価に際し重要であり、上司が部下に改善を求めるも、1年以上その是正がされていなかったこと等に対し、上司が部下に対して「ある程度の厳しい改善指導をすることは、上司らのなすべき正当な業務の範囲内にあるものというべきであり、社会通念上許容される業務上の指導の範囲を超えるものと評価できない」とした裁判例もあります(前田道路事件 高松高判 H21.4.23)。

2.上司によるパワハラと労災認定・解雇との関係

上司によるパワハラが契機となり、被害社員がメンタル不調など健康被害を受ける場合があります。この場合、労災認定の対象となるか否かが問題となりますが、厚生労働省は斉一的・公平迅速に認定判断を行うために次の通達を示しており、これにより労災認定となるかを判断しています(「心理的負荷による精神障害の認定基準について」H23.12.26 基発1226第1[以下、認定基準])。同認定基準では発症前おおむね6ヵ月の間に「客観的に当該精神疾患を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められる」ことを認定要件の1つとして挙げていますが、上司からのパワハラについては以下の場合、「強い心理的負荷」(心理的負荷強度Ⅲ)に該当するものとしています。

①「ひどいいじめ・嫌がらせ」

  • ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた
    ・部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定するような言動が含まれ、かつ、これが執拗に行われた
    ・治療を要する程度の暴行を受けた

②「人間関係のトラブル」

  • 上司とのトラブルがあった
    ・業務をめぐる方針等において、周囲からも客観的に認識されるような大きな対立が上司との間に生じ、その後の業務に大きな支障を来した

上記認定基準に基づき業務上認定(労災認定)がなされ、療養のため休業を継続している場合は労基法19①において解雇制限が適用されるため、原則として休職社員に対する解雇は法的に禁止されます。その一方、会社側が同条同項但し書に基づき平均賃金1,200日分に及ぶ打切補償を支払った場合、同条による解雇制限の適用は除外されます(専修大学事件 最高裁1小判 H27.6.8)が、労契法16の解雇権濫用法理が別途適用され、当該解雇の濫用性が判断される点に注意が必要です。

2職場内において同僚等からいじめ・嫌がらせがなされた場合

キャラクターキャラクター
  • 職場内において同僚等からいじめ・嫌がらせがなされた場合、会社に民事損害賠償責任が生じますか?
  • 職場におけるいじめ・嫌がらせが認められる場合、労災認定の対象となりますか?
1.同僚等によるハラスメントに対する会社の民事賠償責任

職場におけるいじめ、嫌がらせは、会社・上司が組織的に行うもののほか、特定の個人・集団が妬み・恨みなどの私的動機から就労中あるいは職場外になされるものもあることから、同ハラスメントをもって、会社側の安全配慮義務違反が成立するかは、会社側から見て疑問が生じるところとも思われます。この問題が争われた下級審裁判例(誠昇会北本共済病院事件 さいたま地判 H16.9.24)を見ると、次の判断が示されました。

  • 「被告は・・安全配慮義務を尽くす債務を負担していたと解される。具体的には、職場の上司及び同僚からのいじめ行為を防止して、被害社員の生命及び身体を危険から保護する安全配慮義務を負担していたと認められる。」

その上で、同事件では職場内の同僚等によるいじめは従前から続いており、3年近くに及んでいることや、職員旅行・外来会議において当該いじめがなされていたことをもって雇い主も認識が可能であったとし、結論として安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求を認容しています。以上のとおり、会社はいじめ防止に係る安全配慮義務責任を有するため、予見可能性がある限り、職場内でのいじめ等を放置することは許されず、後述する相談・防止体制の整備を通じて、対策を事前に講じておく必要があります。

2.職場内でのいじめ・嫌がらせと労災認定の関係

厚生労働省の労災認定基準では、職場内でのいじめ・嫌がらせについても、職場における心理的負荷が過重である例として次の例を示しています。

①ひどい嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた

  • ・同僚等による多人数が結託しての人格や人間性を否定するような言動が執拗に行われた

②「人間関係のトラブル」

  • 同僚とのトラブルがあった
    ・業務をめぐる方針等において、周囲からも客観的に認識されるような大きな対立が多数の同僚との間に生じ、その後の業務に大きな支障を来した

    部下とのトラブルがあった
    ・業務をめぐる方針等において、周囲からも客観的に認識されるような大きな対立が多数の部下との間に生じ、その後の業務に大きな支障を来した

なお具体的出来事の過重性を判断する際、職場でのいじめが長期間繰り返しなされていた場合には、認定基準上、「いじめやセクシュアルハラスメントのように出来事が繰り返されているものについては、繰り返される出来事を一体のものとして評価し、また、『その継続する状況』は、心理的負荷が強まるもの」としています。

3ハラスメント被害の申し立てを社員が会社に対し行ってきた場合の対応とは

キャラクターキャラクター
  • パワハラ相談窓口をどのように整備すべきでしょうか?
  • パワハラの事実関係を調査する際の留意点とは?
1.パワハラ相談窓口の整備について

社員等が会社に対し、パワハラ等のハラスメント相談を求めることが増えていますが、会社として如何なる窓口の設置が求められるのでしょうか。この点で参考になるのが、「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」(以下、セクハラ指針)であり、当該指針ではセクハラの相談窓口について、以下のとおり示しています。

<相談(苦情を含む、以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備>

  • 事業主は、労働者からの相談に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制を整備することについて、次の措置を講じなければならない。
  • イ 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という)をあらかじめ定めること(相談窓口をあらかじめ定めていると認められる例)
    ①相談に対応する担当者をあらかじめ定めること
    ②相談に対応するための制度を設けること
    ③外部の機関に相談への対応を委託すること
  • ロ イの相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること(以下略)。(相談窓口の担当者が適切に対応することができるようにしていると認められる例)
    ①相談窓口の担当者が相談を受けた場合、その内容や状況に応じ、相談窓口の担当者と人事部門とが連携を図ることができる仕組みとすること
    ②相談窓口の担当者が相談を受けた場合、あらかじめ作成した留意点などを記載したマニュアルに基づき対応すること
  • ハ 職場におけるセクシュアルハラスメントは、妊娠、出産等に関するハラスメント(事業主が職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針(平成28年厚生労働省告示第312号)に規定する「職場における妊娠、出産等に関するハラスメント」をいう。以下同じ。)、育児休業等に関するハラスメント(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(平成21年厚生労働省告示第509号)に規定する「職場における育児休業等に関するハラスメント」をいう。)その他のハラスメントと複合的に生じることも想定されることから、例えば、妊娠、出産等に関するハラスメント等の相談窓口と一体的に、職場におけるセクシュアルハラスメントの相談窓口を設置し、一元的に相談に応じることのできる体制を整備することが望ましいこと。 (一元的に相談に応じることのできる体制を整備していると認められる例)
    ①相談窓口で受け付けることのできる相談として、職場におけるセクシュアルハラスメントのみならず、妊娠、出産等に関するハラスメント等も明示すること。
    ②職場におけるセクシュアルハラスメントの相談窓口が妊娠、出産等に関するハラスメント等の相談窓口を兼ねること。

 上記の内容は、パワハラの相談・調査体制とその運用においても参考となります。まずはパワハラに係る問題についても、社内であらかじめ相談窓口を設け、これを周知しておくことが望まれます。同相談窓口が相談を受理した後、適切に対応を行うことが求められており、具体的には相談担当者と人事部門との連携、マニュアルに基づく対応などが示されています。

2.パワハラ調査時の方法について

相談窓口における対応としてはまず「相談を傾聴する」ことが大きな役割ですが、さらに問題解決のための対応に踏み出すことも求められます。その際、極めて重要であるのが「事実関係の調査」です。当該事実関係の調査方法について、さしあたり参考となるのが前述のセクハラ指針であり、調査に際して、次の留意点を示します。

事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントに係る相談の申出があった場合において、その事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認し、適正に対処することについて次の措置を講じなければならない。

イ 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること
(事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認していると認められる例)
①相談窓口の担当者、人事部門又は専門の委員会等が、相談を行った労働者(以下「相談者」という)及び当該職場におけるセクシュアルハラスメントに係る性的な言動の行為者とされる者の双方から事実関係を確認すること
また、相談者と行為者との間で事実関係に関する主張に不一致があり、事実の確認が十分にできないと認められる場合には、第三者からも事実関係を聴取する等の措置を講ずること
②事実関係を迅速かつ正確に確認しようとしたが、確認が困難な場合などにおいて、(略)・・調停の申請を行うことその他中立な第三者機関に紛争処理を委ねること

同指針においてもまず「イ 事実関係を迅速かつ正確に確認すること」としますが、これが実務的に困難な場合もあります。とりわけ被害者・加害者側の見解が対立している場合が問題です。セクハラ事案ではありますが、調査を担当した社員が加害社員と顔見知りであったためか、真摯に相談・調査に応じなかった結果、同調査担当社員等を降職させたところ、同処分が有効としたものとした裁判例(東京地判 H22.10.29)があることからも、パワハラの相談・調査に対応する者もセクハラ案件と同様に、相談に対応し適切に処理すべき職責を負っており、当該調査に際して公平・中立性を損なうことのないよう留意する必要があります。

3.被害社員に対する懲戒処分

被害社員等からの相談に基づき調査を進め、ハラスメントの事実が明らかとなった場合、加害者に対する懲戒処分等が問題となります。事案によっては、被害社員等が会社に対し、強硬に加害社員に対する懲戒解雇等を求めるケースも見られるものですが、懲戒処分を行うべきか否かは会社側が企業秩序維持の観点から決すべき問題です。またどの程度の懲戒処分を行うかについては、ハラスメントの悪質性、頻度、加害社員の地位およびこれまでの社内懲戒事例などを総合考慮して決定することとなります。

企業によっては、ハラスメント事案に係る懲戒処分のガイドラインをあらかじめ策定しておき、これに基づき決定を行う例も見られます。被害社員は懲戒処分に係る意見書を提出する例が見られますが、当該意見書は懲戒処分の有無および内容決定に際する重要な参考意見として取り扱うべきものです。

4.被害社員の休職復職・解雇等

ハラスメント等の被害を受け、メンタルヘルス疾患に罹患した社員が休職を要する場合があります。会社への申立前または申立を受け、調査中の段階においても、医師の所見上、同人に健康障害の恐れがあれば、その原因を問わず、まずは治療に専念させるため休職手続きを取る必要があります。

私傷病休職制度があれば、まずは同制度を適用し休職させることが通例ですが、当該私傷病休職が長期間に及び、所定の休職期間が満了した場合が問題となります。この場合、就業規則等の規定に照らせば、退職扱い又は解雇となりますが、当該対応をめぐる労務トラブルが見られます。

原則的には私傷病休職であれば、休職期間満了の際、「復職可能」か否かが問題となり、これが困難と認められれば、退職・解雇扱いは一般に有効です。しかしながら、当該傷病の原因として、上司等のパワハラ・長時間労働等が主張された場合は慎重な対応が求められます。

例えば、最近の裁判例では、私傷病休職が満了した社員が復職困難であることを理由に会社側が普通解雇した事案について、当該解雇が「業務上傷病による休職中の違法解雇(労基法19違反)」にあたり無効としたものが見られます。
東芝事件 東京高判 H23.2.23

なおハラスメントを理由に離職した場合、雇用保険法上、特定受給資格者(上司、同僚等からの故意の排斥又は著しい冷遇若しくは嫌がらせを受けたことによって離職した者)に該当する点にも注意が必要です。

4パワハラ防止体制の整備

キャラクターキャラクター
  • パワハラ防止体制の概要とは?
  • トップメッセージと実態把握の重要性
  • ルール策定の意義
  • 教育・周知の重要性
1. パワハラ防止体制の概要

パワハラは言うまでもなく、人が人に対して行うものです。このパワハラを防止するためには何よりも人および組織全体に対し、パワハラが許されない行為であることを周知徹底し、意識醸成を図ることを要します。「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告書」(厚生労働省)においても、パワハラ防止対策として次の5点が必要であることを明らかにしています。

  • ①トップのメッセージ
    >組織のトップが、職場のパワーハラスメントは職場からなくすべきであることを明確に示す
    ②ルールを決める
    >就業規則に関係規定を設ける、労使協定を締結する
    >予防・解決についての方針やガイドラインを作成する
    ③実態を把握する
    >従業員アンケートを実施する
    ④教育する
    >研修を実施する
    ⑤周知する
    >組織の方針や取組について周知・啓発を実施する
  • 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告
    http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000021hkd.html
2.トップメッセージ・実態把握の重要性

会社が上記取組を行う際、まず何よりも優先的になされるべきは、パワハラ防止に関しトップおよび経営幹部が共通認識を持つことです。トップおよび経営幹部が同社において許されないパワハラ行為の定義と具体例に関し共通理解を有していないと、防止対策が十分に実効性のあるものとならない上、いざ労務トラブルが生じた場合、社内で統一的な対応が取れず、さらなる深刻化の懸念すらあるものです。

まずはトップおよび経営幹部がパワハラの定義・具体例を明らかにした上で、明確に当該パワハラを職場からなくすべきであることを共通認識した上で、社内的にもその旨、メッセージを発信することが対策上、極めて重要です。その際、あらかじめ「実態を把握する」ため、社内でアンケート調査を実施し、社員がどのような行為がパワハラと認識しているのか確認し、これをトップメッセージに反映させることも有意義です。

3.ルール策定の意義

トップメッセージの発信の際、あわせて②ルールを決める取組みを行うことは、社内のパワハラ防止に係る意識醸成を高める上で有効な施策と思われます。一例としては以下の内容について、ルールを決めることが考えられます。

  • ①パワハラの定義、具体例の例示
    ②パワハラ相談、調査担当組織の規定化
    ③パワハラ相談に対する対応の流れおよび手続き等の規定化
    ④パワハラ行為に対する懲戒基準、処分内容と手続きの規定化(内規化)
    ⑤パワハラ行為に対する社内対応(被害社員に対する支援、再発防止対策等)

同ルールを就業規則に規定化する際の方法としては、既存の就業規則に必要となる条文の追加又はパワハラに関する規定を別途策定する二つの方法が考えられます。いずれの方法でも問題はありませんが、後者を採用するメリットとして、規定策定とその周知を通じて、企業のパワハラに対する姿勢を示すことと、各従業員にとっての分かりやすさ・情報アクセスの容易性が挙げられます。

4.教育・周知の重要性

パワハラ防止のための教育・周知は社員の階層別に行うことが効果的です。まず一般社員向けの研修では、トップメッセージとパワハラに関するルール内容等を中心とすることが考えられます。その際、特に重要といえるのが、会社が考えるパワハラの定義・具体例および当該パワハラを受けた場合の相談窓口と会社対応の流れなどの教育です。同研修を通じて、まず労使間においてもパワハラに関する共通理解を深めることが極めて有益です。また社内におけるパワハラ相談窓口と会社対応の方針を事前に社員に知らしめることは会社への信頼醸成に有効です。

次にマネージャー層に対する研修については、自らがパワハラを行う可能性が高いといえ、当該行為を働くことがないよう管理職研修と組み込んだ形で、パワハラ研修を行うのが効果的です。具体的には、管理職自身が職場で他者の人格を傷つけるような行為をしてはならないことを確認し、業務に必要な指示、教育指導の適正な在り方について理解させるような研修を実施していく要があるところです。そのため、当該研修はコンプライアンス、コミュニケーションスキル、マネジメントスキル等の研修と関連づけて、グループ別でケース検討を行わせる方法などが有益といえるでしょう。

5問題解決のための公的な相談機関

●労災・労基法に関する問題については労働基準監督署、パワハラ・セクハラ・妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに関する問題については都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)、雇用保険(特に失業保険)に関する問題についてはハローワーク(公共職業安定所)で、相談可能です。

相談機関のご紹介はこちら


パワハラ対策についての総合情報サイト「あかるい職場応援団」