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凡例

法令の略記
・労基法:労働基準法
・労基則:労働基準法施行規則
・年少則:年少者労働基準規則
・最賃法:最低賃金法
・労契法:労働契約法
・賃確法:
  賃金の支払の確保等に関する法律
・安衛法:労働安全衛生法
条文等の表記
・法令略記後の数字:該当条文番号
・法令略記後の○囲みの数字:
  該当項番号
・法令略記後の( )囲みの漢数字:
  該当号番号
例:労基法12①(二):
  労働基準法第12条第1項第2号
通達の表記
・発基:大臣又は厚生労働事務次官名で発する労働基準局関係の通達
・基発:労働基準局長名で発する通達
・基収:労働基準局長が疑義に答えて発する通達
・婦発:婦人局長(現 雇用均等・児童家庭局長)名で発する通達

Q&A

その他

Q

給与明細に、社内預金という項目があり、何の説明もなく勝手に毎月1万円が差し引かれています。経理担当に聞いても「みんなの将来のための貯金です」と誤魔化されてしまいました。ほんとにそうなのか疑わしく、そもそもこんなやり方は許されるのでしょうか?

A

労働者には自己の意思に反して社内預金を行う義務はありません。
貯蓄をしなければ雇用しない、社内預金をやめるなら解雇するなどといって預貯金を強制したり、会社の取引銀行に預金口座を開設させて預金を強要したりすることは、労働基準法に違反し認められないものです。
戦前、盗難や労働者の浪費を防ぐなどの理由を挙げて、賃金の全部又は一部を使用者が強制的に貯蓄させることが広く行われていましたが、労働者の足留策となったり、経営状況によって払戻しが困難になるなどの問題が生じていました。
その反省から、労基法は労働契約に付随して強制的に貯蓄金を管理する契約をすることを禁止しています。(労基法 18)
ただし、労働者が任意に貯蓄金の管理を使用者に委託し、使用者がこれを管理したり通帳を保管したりすることは、貯蓄金管理に関する労使協定の締結や一定の保全措置を講ずることなどの一定の条件を満たした場合に限って認められています。
貯蓄金の管理が労働者からの貯金の受入であるものが、一般的に社内預金といわれます。

なお、認められる社内預金であっても、その積立金等を毎月の賃金から控除するためには、賃金控除に関する労使協定の締結が必要になります。

詳しく知りたい方はこちら

任意貯蓄の管理の変遷

  • ①労基法制定当初は任意貯蓄の管理は行政官庁の認可によることとされていましたが、昭和27年の法改正により労使協定の締結届出制に改められ、同時に貯蓄金管理規程の作成と労働者への周知、最低利率、返還請求に対して遅滞なく返還すべきことなどが法律上明文化されました。
    さらに、貯蓄金管理を継続させることが労働者の利益を著しく害する場合の中止命令権が行政機関に与えられました。
  • ②昭和40年に貯蓄金管理が預金者の保護を中心に大きな社会問題になり、昭和41年3月に労基法施行規則の一部が改正され、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入である場合のいわゆる社内預金について労使協定の絶対的必要協定事項が定められるとともに、保全措置等について必要な行政指導が行われることとなりました。
  • ③昭和48年以降のいわゆる石油ショックによる不況から急増した貯蓄金返還不能などに対応するため、昭和51年5月に「賃金の支払の確保等に関する法律」が制定され、社内預金について毎年3月31日現在の受入預金額の全額の保全措置が法律上の義務とされるとともに、事業主がこの義務を履行しない場合の保全命令権が労働基準監督署長に与えられました。

貯蓄金管理に関する労使協定の協定事項

貯蓄金管理に関する労使協定では、以下の事項について協定することとされており(労基則5条の2)、具体的内容については通達(昭52.1.7基発4、平6.3.31基発181ほか)で示されています。

  • ①預金者の範囲
    預金者は労基法9条に規定される労働者に限られ、使用従属関係のない会長、役員、退職者、派遣先における派遣労働者等は含まれません。
  • ②預金者一人当たりの預金額の限度
    預金の原資は労基法11条に規定される賃金に限られ、兼業収入・財産収入等は原資として適当ではないとされます。
    限度額は事業場の賃金水準預金の目的等を考慮して具体的に決定すべきものとされます。
  • ③預金の利率及び利子の計算方法
    社内預金である場合の預金の利率に関しては、法定の最低限度が利率省令によって示されており、労使協定では下限利率以上の率で利率を定めなければなりません。
  • ④預金の受入及び払戻しの手続き
    預金者に対する預金通帳等、預金の受入額・払戻額・残高を記載した書面の交付、各人別にこれらを記録した預金元帳の備付を定めることとされています。
    なお、賃金控除協定に基づいて賃金から控除して預金を受け入れている場合、賃金支給明細書にその月の積立金額及び積立合計額を記載することとされているときは、これを預金通帳に代えても差し支えないとされています。
  • ⑤預金の保全の方法
    預金の保全については、賃確法第3条において、毎年3月31日現在の受入預金額の全額について、同日後1年間を通じて一定の保全措置を講ずべきことが規定され、具体的には以下のような保全の方法が定められています(同法施行規則2条)
    労使協定では、これらの措置のうちどの方法(2以上の方法の併用も可)によるのかを定めることとなります。
  • ア 事業主の労働者に対する預金の払戻しに係る債務を銀行その他の金融機関において保証することを約する契約を締結すること。
  • イ 事業主の労働者に対する預金の払戻しに係る債務の額に相当する額につき、預金を行う労働者を受益者とする信託契約を信託会社と締結すること。
  • ウ 労働者の事業主に対する預金の払戻しに係る債権を被担保債権とする質権又は抵当権を設定すること。
  • エ 預金保全委員会を設置し、かつ、労働者の預金を貯蓄金管理勘定として経理することその他適当な措置を講ずること。
    預金保全委員会による場合には、以下によること。
    預金保全委員会の構成員の半数は、事業主に雇用される労働者であって、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、そのような労働組合がない(労働組合がない、労働組合はあるが過半数で組織されていない)ときは、過半数を代表する者の推薦を受けたものとすること。
    3月以内ごとに1回定期に預金保全委員会に対して書面により報告を行うこと。
    預金保全委員会の開催の都度、議事の概要、預金の管理に関する状況の概要を労働者に周知させること。
    重要な議事に係る記録を作成して3年間保存すること。
    預金保全委員会による場合は、実質的な保全機能を高めるため、貯蓄金管理勘定と支払準備金制度を併用することが望ましい。
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