裁判例

6.解雇

6-2 「懲戒」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性

基本的な方向性

(1) 職務の遂行に関係のない職場外の行為であっても、会社の円滑な運営に支障をきたすおそれがある場合や社会的評価に重大な悪影響を与えるような場合には、その行為を理由に懲戒処分を行うことが認められます。
(2) 労働者の不名誉な行為が会社の体面を著しく汚したというには、必ずしも、業務を具体的に阻害したことや取引上の不利益が現に発生したことなどを必要とするものではありませんが、その行為の性質、情状のほか、会社の事業の種類・態様・規模、会社の経済界に占める地位、経営方針やその従業員の地位・職種等諸般の事情から総合的に判断して、会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合でなければなりません。

日本鋼管事件(S49.03.15最二小判)

【事案の概要】
(1) Y社は、刑事特別法違反の罪により逮捕、起訴された従業員Xを、就業規則所定の「不名誉な行為をして会社の体面を著しく汚したとき」に該当するとして懲戒(諭旨)解雇したところ、Xは、懲戒事由に当たらないとして、従業員としての地位確認を求めたもの。
(2) 最高裁は、Xの行為がY社の社会的評価を低下させたことは否定できないが、懲戒解雇又は諭旨解雇の事由とするには不十分であるとして、従業員たる地位を有することを確認するとした東京高裁判決を支持した。
【判示の骨子】
(1) 会社は、その社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、職務の遂行とは直接関係ない私生活上のものであっても規制することができる。
(2) 会社の体面を著しく汚したというには、必ずしも業務を具体的に阻害したとか取引上の不利益が現に発生したことを必要としないが、その行為の性質や情状のほか、会社の事業の種類・態様・規模、会社の経済界に占める地位、経営方針やその従業員の地位・職種等諸般の事情を総合的に判断して、従業員の行為が、会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される必要がある。
(3) Xらの行為がY社の社会的評価を若干低下せしめたことは否定できないが、Y社の体面を著しく汚したものとして懲戒解雇又は諭旨解雇の事由とするには、なお不十分である。

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