裁判例

5.賃金

5-1 「中間収入の控除」に関する具体的な裁判例の骨子と基本的な方向性

基本的な方向性

(1) 使用者の責に帰すべき事由による解雇の場合、労働者は解雇期間中の賃金支払を請求できますが、使用者は賃金支払に当たって、労働者の中間収入分を控除できます。
(2) 控除の限度額については、労基法26との関係から、平均賃金の4割が限度となります。

米極東空軍山田部隊事件(S37.07.20最二小判)

【事案の概要】
(1) 使用者Yの責に帰すべき事由により解雇された労働者Xが、当該解雇期間中に他の職に就いて利益を得た場合に、Yが賃金を支払う際に、Xは右の利益を償還しなければならないかが争われた事例。
(2) 最高裁は、中間収入は控除すべきだが、その限度は、平均賃金の4割に留めるべきとした。
【判示の骨子】
(1) 使用者の責に帰すべき事由によって解雇された者が解雇期間内に他の職に就いて利益を得たときは、その利益が副業的なものであって解雇がなくても当然取得しうる等特段の事情がない限り、民法536条2項但書に基づき、使用者に償還すべき。
(2) 労基法26条の規定は、民法536条2項の「使用者ノ責ニ帰スヘキ事由」によって解雇された場合にも適用される。
(3) 解雇期間中の賃金全額の請求権を有すると同時に解雇期間中に得た利益を償還すべき義務を負っている場合に、特約がない限り、平均賃金の4割までは控除できる。

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